古事記 中巻(神武天皇) 来目
(久米)の歌 
作者名  
作品名  古事記
成立年代  
 その他  『日本書紀』神武天皇戊午年12月、重出。
 宇陀の たかき(高城)に しぎわな(鴫罠)(張)
 わ
(我)がま(待)つや しぎ(鴫)はさや(障)らず いすくはし くじら(鯨)さや(障)
 こなみ
(前妻)が な(肴)(乞)はさば
    た
(立)ちそば(柧棱)の み(実)のな(無)けくを こ(扱)きしひゑね
 うはなり
(後妻)が な(肴)(乞)はさば
    いちさかき
(柃) み(実)のおお(多)けくを こきだ(許多)ひゑね
  ええ しやこしや こはいのごふそ
  ああ しやこしや こはあざわら
(嘲笑)ふそ

 おさか
(忍坂)の おほむろや(大室屋)
 ひと
(人)さは(多)に き(来)(入)りを(居)り ひとさはに いりをりとも
 みつみつし 久米のこ
(子)
 くぶつつい
(頭椎) いしつつい(石椎)もち う(撃)ちてしや(止)まむ
 みつみつし 久米のこらが
 くぶつつい いしつついもち いま
(今)(撃)たばよ(良)らし

 みつみつし 久米のこらが
 あはふ
(粟生)には かみら(香韮)ひともと(一本)
 そ
(其)ねがもと(本) そねめ(其根芽)つなぎて うちてしやまむ

 みつみつし 久米
のこ(子)らが
 かきもと
(垣下)に う(植)ゑしはじかみ(椒)
 くち
(口)ひひく われ(吾)はわす(忘)れじ うちてしやまむ

 かむかぜ
(神風)の 伊勢のうみ(海)の おひし(大石)に は(這)ひもとほ(廻)ろふ 
 しただみ
(細螺)の いはひもとほり うちてしやまむ
 


 詠いこまれた花   ニシキギカナメモチ或いはブナ、ヒサカキアワニラサンショウ(或はショウガ)
 詠われている植物は、「たちそば」と「いちさかき」、ともに実のなる植物である。

 「たちそば」は、『倭名類聚抄』に柧棱
(ころう)を曽波之木(そばのき)と訓んでいることから、「立ち柧棱」の意で、植物としての名は「そばのき」であろうとする。
 和語のそばは、尖った角を言う。漢語の柧と棱も 共に尖った角を言う言葉で、柧棱(コロウ,guleng)は觚稜(コロウ,guleng)とも書き、宮闕の屋根の尖りを言う。しかし漢語には、柧棱と呼ばれる植物は見当たらない。
 そこで、そばのきとはどんな木であったのかが問題となっており、旧来、1.ブナ、2.カナメモチ、3.ニシキギなどの説がある。
 ニシキギは、枝に翼を持つので、「そばのき」の呼称にふさわしい。カナメモチは、新緑の頃に紅葉を出すという『枕草子』の記述にふさわしい。

 「いちさかき」は、近江から尾張あたりの方言を考慮したうえで、「ひさかき」であろうという。『倭名類聚抄』に柃を比佐加岐と読んでいるが、漢語の柃(レイ,leng)は 今日でもヒサカキである。

 みらはニラ。ミ、ニの音通から。

 はじかみは、サンショウ。一説にショウガ。



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